ご依頼主:60代女性
相談前
築年数の古い賃貸物件について、ご相談者(オーナー)様より、補助金制度を利用して耐震補強工事を行いたいが、工事は賃借人の部屋の内部でも一部を行う必要がある。その協力を得たいと申し出たけれども賃借人が話し合いに応じてくれず困っているとのご相談でした。
相談後
交渉事件として相手方(賃借人)とお話をしました。相手方は、相談者様からこの日までに工事をするから退去するよう突然言われた、納得できないという答えがありました。相談者様は工事の必要性と工事の日程を説明したつもりでしたが、その話の際に双方で行き違いがあり、感情的な亀裂が入ってしまったようでした。
そこで、工事の必要性と工事内容とご協力いただきたい内容についてご説明しました。その話の中で、相手方は、数年間は住みたいが長期にこの賃貸物件に居住する予定もないため、差し迫った危険性がないのであれば、忙しい生活の中で工事の負担を負いたくないというお気持ちがあることがわかりました。
そのため、退去いただく条件の交渉へと内容をシフトしました。相手方も退去義務がないことを知っていたことから交渉条件の調整には難航しました。最終的に、相手方にはメリットがあるが相談者様のデメリットは少ないという譲歩事項が見つかり、明け渡しに応じていただくことができました。
弁護士からのコメント
賃貸物件をお持ちのオーナー様が物件に関して手を加えたいとき、賃借人との交渉は頭が痛い事柄だと思います。賃借人もインターネットである程度の賃貸借の法律知識を得ることができます。ただ、法律論では希望どおりの要求ができなくとも、交渉により双方にメリットがある内容を提案すれば合意に至ることができます。話し合いの中から賃借人が求めていることを探し当てることが必要です。おひとりで抱え込まずにご相談ください。